Japanese
English
バイオ時代におけるリウマチ性疾患の診療 Ⅳ.手術的治療
2.下肢
関節リウマチの前足部変形に対する関節温存手術
Joint-preserving surgery for the forefoot deformities with rheumatoid arthritis
川端 紳悟
1
,
中佐 智幸
1
,
生田 祥也
1
,
住井 淳一
1
,
猫本 明紀
1
,
安達 伸生
1
S. Kawabata
1
,
T. Nakasa
1
,
Y. Ikuta
1
,
J. Sumii
1
,
A. Nekomoto
1
,
N. Adachi
1
1広島大学大学院整形外科
1Dept of Orthop. Surg., Graduate School of Biomedical and Health Sciences, Hiroshima University, Hiroshima
キーワード:
foot
,
joint-preserving surgery
,
hallux valgus
,
RA
Keyword:
foot
,
joint-preserving surgery
,
hallux valgus
,
RA
pp.121-124
発行日 2023年10月25日
Published Date 2023/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei84_121
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は じ め に
足部は関節リウマチ(RA)でもっとも障害されやすい部位の一つで,手部よりも早期に障害されることが多い.30~50歳代の女性に好発し,原因不明の足部痛には,高頻度でRAが含まれていることに留意する必要がある.進行期のRAでは特徴ある変形を呈するが,生物学的製剤といった治療薬の発展により足部のRAの病態も変化してきている.典型的な前足部変形としては外反母趾,内反小趾,槌趾変形,外側趾中足趾節(MTP)関節背側脱臼,足底胼胝などを生じ,扁平三角状変形を呈するようになる.近年のRAの薬物治療の発展により,大関節の手術は減少傾向にある.
その一方で,日常生活動作(ADL)の改善をめざす足部手術はむしろ増加傾向にある1).足部変形は歩行などの移動に関して著しくADLを低下させるため,手術になることが多い.手術的治療としては,外反母趾を伴う前足部変形に対しては母趾MTP関節固定術や切除形成術が行われてきた.しかし,近年生物学的製剤などのRA治療が進化したことで関節炎のコントロールが良好になり,骨状態がわるい症例や関節の破壊例が少なくなっていることや,関節固定術や切除形成術の術後機能障害や再発といった理由から,関節温存手術が広く行われるようになってきている2,3).以下に,RAの前足部変形に対する関節温存の実際について述べる.
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