変形性近位指節間関節症に対する人工関節置換術の手術手技とその有益性および問題点

Surgical technique of artificial joint replacement for osteoarthritis of the proximal interphalangeal joint and benefits and important points derived from the experiment

は じ め に

　近年，健康寿命の伸長に伴い，生活の質（QOL）を上げることが治療で重要視されている．日常生活における，衣服の着脱，洗面洗髪，入浴，炊事といった基本的な活動はもとより，手外科領域においては，ボタンかけ，包丁や箸の使用，小銭の扱いといった巧緻性動作が要求される手指の機能再建のニーズが高くなる傾向にある．そのなかでも人工関節置換術の発展には近年めざましいものがある．手指の変形性関節症（OA）を診療するにあたり，患者の愁訴として，疼痛，関節可動域（ROM）制限，不安定性，整容美学的な問題などさまざまなものがある．患者の要求度も高くなり人工関節置換術が適応となる症例数も増加している．本稿では，近位指節間（PIP）関節に対して，表面置換型の人工関節置換術とその有益性，問題点について自験例の臨床成績を提示して述べる．