Japanese
English
人工関節における進歩 Ⅲ.長期成績をめざした術前計画
2.人工膝関節置換術
Kinematic alignment法は人工膝関節全置換術におけるパラダイムシフトとなりうるか
Can kinematic alignment be a paradigm shift in total knee arthroplasty?
岡田 葉平
1
,
寺本 篤史
1
,
鍋城 尚伍
1
,
興村 慎一郎
1
,
渡邉 耕太
2
,
山下 敏彦
1
Y. Okada
1
,
A. Teramoto
1
,
S. Nabeki
1
,
S. Okimura
1
,
K. Watanabe
2
,
T. Yamashita
1
1札幌医科大学整形外科
2札幌医科大学理学療法学第二講座
1Dept. of Orthop. Surg., Sapporo Medical University School of Medicine, Sapporo
キーワード:
kinematically aligned TKA
,
alignment
,
ligament balance
Keyword:
kinematically aligned TKA
,
alignment
,
ligament balance
pp.47-52
発行日 2023年4月25日
Published Date 2023/4/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei83_47
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は じ め に
人工膝関節全置換術(TKA)の最大の課題がポリエチレン摩耗であった時代から現在にかけて,インプラントの耐久性を重視して下肢荷重軸に垂直にインプラントを設置するmechanical alignment(MA)法が主流になっている.しかしMA法はさまざまな形態をもつ患者の下肢を画一的に一直線状に矯正するため,患者によってはもともとの関節と大きく形態が変化すると同時に靱帯バランスの変化を引き起こす可能性がある.
一方,患者個々の変形前の関節形態や靱帯バランスを再現することを概念とするkinematic alignment(KA)法が近年提唱されている.KA法の目標とするアライメントは患者個々の変形前のアライメントであるため,インプラントを下肢機能軸に垂直にすることをめざさない.海外のメタアナリシスでは術後の臨床成績がMA法と同等かそれ以上との報告1)もあるが,わが国においては2022年12月現在,いまだ広く普及している状況とはいえない.
そこで本稿ではまずKA法の概念から述べ,わが国の患者に対するKA法TKAの自験例を報告する.これらの結果から,KA法がTKAのパラダイムシフトとなりうるかを考察する.
© Nankodo Co., Ltd., 2023