連載 長期経過例に学ぶ骨折治療のエッセンス
第4回 上腕骨遠位端骨折・肘頭骨折
松村 福広
1
1自治医科大学 栃木県災害医学寄附講座
キーワード:
distal humeral fracture
,
olecranon fracture
,
ORIF
Keyword:
distal humeral fracture
,
olecranon fracture
,
ORIF
pp.1116-1129
発行日 2025年10月1日
Published Date 2025/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei76_1116
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は じ め に
肘関節を含めた上肢骨折は上肢が常時荷重肢とはならないため,急性期の観血的整復内固定術(open reduction and internal fixation:ORIF)で関節面の解剖学的な再建と上肢全体のアライメントが確保され,適切な靱帯の修復が行われていれば,長期成績はわるくはない.本連載の第3回では,腕橈関節と近位橈尺関節(proximal radioulnar joint:PRUJ)が破綻した外傷で前腕の回内外運動制限が注目すべきアウトカムの一つであった.第4回では,肘関節の屈曲と伸展に関与する腕尺関節が損傷された症例を中心に,その長期予後について考えた.具体的には,上腕骨遠位端骨折と肘頭骨折[trans-olecranon fracture dislocation(TOFD)を含む]の自験例を呈示し,これらに関する報告をまとめ,考察した.

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