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は じ め に
人工股関節全置換術(THA)では,良好な術後股関節機能の獲得と脱臼や破損といった合併症を防ぐため,インプラントの正確な設置が求められ1),近年ではさまざまなcomputer-assisted orthopaedic surgery(CAOS)による手術支援が行われている.術前計画では,単純X線正面像とテンプレートシートでの手作業の作図から,3 Dデジタルテンプレートソフトでの作図が行われている.また術中支援でも,アライメントガイドや目視での手術から,種々のナビゲーションを使用する術者が増加している.
術中支援であるナビゲーションにはイメージレスポータブルナビゲーション,CT-basedナビゲーション,ロボティクスナビゲーションの三つがある.イメージレスポータブルナビゲーションは小型で比較的安価であるが,術中に座標系の再現が困難で,角度情報のみで位置情報が得られない.ロボティクスナビゲーションは術者の術前計画の負担が少なく,アームの制御により手振れの影響がない点で精度は高いが,購入・維持費が高く,再置換例には使用できないといった制約がある.また,これら二つの方法は現状ではカップ設置のみの使用が可能であり,ステム設置には対応していない.一方でCT-basedナビゲーションは,初回,再置換を問わず高いインプラント設置精度が報告され2),ステム設置にも適応できる点でほかの術中支援と異なる.
CT-basedナビゲーションにも,使用できるインプラントに制限があることや,詳細な3 D計測や骨切り併用の作図が行えないこと,術後評価機能がないといった欠点もある.しかし,これらの欠点は3 Dテンプレートソフトを用いて補うことで,初回THAや再置換例だけでなく,骨欠損を伴う症例や骨切りを要する症例においてもインプラントの正確な設置が可能となる.本稿では,CT-basedナビゲーションと3 Dテンプレートソフトを併用するcomputer assisted THAの精度評価と応用した症例を報告する.
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