CTナビゲーション併用人工股関節全置換術の長期有効性 -――18年間の追跡調査

The long-term efficacy of computed tomography-navigated total hip arthroplasty ：an 18-year follow-up study

【要　旨】

　目　的：CTナビゲーション（ナビ）併用人工股関節全置換術（THA）は脱臼や弛みの発生率を減少させるのに有用であるが，その長期生存率に関する報告は少ない．本研究の目的は15年以上観察しえたCTナビ併用THA例の生存率，脱臼率および弛み発生率を調査することである．

　対象および方法：対象は当院で施行されたCTナビ併用THA例のうち15年以上観察しえた145例（平均観察期間は18.4年）であった．インプラント設置角度，再置換をエンドポイントとした生存率，脱臼率，カップの固定性を評価した．

　結　果：カップの73.8％はLewinnekの安全域内に設置されていた．脱臼例は4例（2.8％）で3例が術後1ヵ月以内，1例は術後7年で発生した．再置換は1例（0.7％）であり，生存率は99.3％であった．生存した144例において，固定性はすべて「弛みなし」と判断された．

　結　論：本研究では，CTナビ併用THAは平均18.4年の経過において弛みはなく，また良好な長期成績を呈していた．これはカップが至適な位置および角度で設置されたことにより良好な初期固定性が得られたことに起因するためと推測された．