Japanese
English
骨・関節感染症の治療戦略 Ⅲ.検査・診断
1.細菌培養検査,病理診断
整形外科骨・軟部組織感染症および人工関節周囲感染症の原因菌検索における血液培養ボトルを併用した超音波処理法
Usefulness of sonicate fluid culture method with blood culture bottles for improving microbial detection of bone/soft tissue infections and implant-associated infections
外山 雄康
1
,
植田 成実
2,3
,
齋藤 貴徳
1
T. Toyama
1
,
N. Ueda
2,3
,
T. Saito
1
1関西医科大学整形外科
2関西医科大学総合医療センター整形外科
3関西医科大学総合医療センターゲノム解析センター
1Dept. of Orthop. Surg., Kansai Medical University Hospital, Hirakata
キーワード:
sonicate fluid culture
,
blood culture bottle
,
orthopedic biofilm infections
,
periprosthetic joint infection
Keyword:
sonicate fluid culture
,
blood culture bottle
,
orthopedic biofilm infections
,
periprosthetic joint infection
pp.54-59
発行日 2022年4月25日
Published Date 2022/4/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei81_54
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に
慢性骨髄炎などの骨・軟部組織感染症は,原因菌を検出できないことも多く,骨や滑膜などの生体組織に血液培養ボトルを使用した培養検査を行うことで,検出率の向上が期待できる.しかし,再発が繰り返される慢性感染は,抗菌薬に耐性のあるバイオフィルム内に存在する冬眠状態の抗菌薬感受性を認める細菌が原因とされ1),血流が乏しい組織に形成されるバイオフィルムおよびバイオフィルム内の細菌が,治療抵抗性の要因となる2).
われわれは,このような骨・軟部組織に形成されたバイオフィルム内の細菌検出を目的として,人工関節周囲感染(periprosthetic joint infection:PJI)における超音波処理後培養検査(超音波処理法)3,4)に着目した.検出感度の向上を目的とし,血液培養ボトルによる培養検査前に,超音波処理により骨・軟部組織におけるバイオフィルムを破砕することで,バイオフィルム内の生菌を検出する方法を考案した5).われわれは,これまでPJIや整形外科感染症に対し,本検査法を用いた治療を行っており,本稿では,PJIおよび整形外科骨・軟部組織感染症における新規超音波処理法を用いた原因菌検出率を報告し,有用性を検証する.
© Nankodo Co., Ltd., 2022