Japanese
English
骨・軟部腫瘍のマネジメント(その2) Ⅴ.再建法,その他
4)その他
骨・軟部腫瘍領域における人工関節周囲感染の予防と治療
Prevention and treatment of periprosthetic joint infection in orthopaedic oncology
白井 寿治
1
,
土屋 弘行
2
,
高橋 謙治
1
T. Shirai
1
,
H. Tsuchiya
2
,
K. Takahashi
1
1京都府立医科大学大学院運動器機能再生外科学
2金沢大学大学院整形外科
1Dept. of Orthop., Graduate School of Medical Science, Kyoto Prefectural University of Medicine, Kyoto
キーワード:
periprosthetic joint infection
,
prevention
,
treatment
,
bone and soft tissue tumor
,
oncology
Keyword:
periprosthetic joint infection
,
prevention
,
treatment
,
bone and soft tissue tumor
,
oncology
pp.135-138
発行日 2021年10月25日
Published Date 2021/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei80_135
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は じ め に
骨・軟部腫瘍における術後感染は非常に深刻な合併症の一つである.特に悪性腫瘍ではその感染率は高いとされている.化学療法に伴う免疫不全や腫瘍切除後の大きな死腔,軟部組織の状態不良や欠損,長時間の手術などが術後感染の大きな原因である.また軟部腫瘍よりも再建を必要とする骨腫瘍のほうが感染の危険性が高い.骨腫瘍手術の感染リスクを調べた報告では,骨盤腫瘍手術やインプラントを使用した手術において有意に感染リスクが高い結果であった1).特に骨盤腫瘍手術では,その感染率が30%以上にものぼる2).脛骨近位部腫瘍手術でも15%以上と高率で,その約40%は切断にいたるとさえ報告されている3).Megaprosthesesの感染率を調べると,3~31%と非常に高率であることが報告されている3).したがって感染対策は必須である.
2018年に世界各国の骨関節感染症の専門家たちによって,第2回骨関節感染症国際コンセンサス会議(International Consensus Meeting:ICM)が開催された.そこでは,骨・軟部腫瘍領域における人工関節周囲感染(periprosthetic joint infection:PJI)治療は,通常の表面置換型人工関節と同様に行うこととされている4).骨・軟部腫瘍領域は希少疾患であるためエビデンスを構築するのがむずかしく,各々の経験に頼るところも多い.本稿では,骨・軟部腫瘍領域におけるPJIの予防および治療について述べる.
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