Japanese
English
骨・関節感染症の治療戦略 Ⅲ.検査・診断
1.細菌培養検査,病理診断
人工股関節全置換術患者における鼻腔内保菌検査および除菌
-――費用対効果からみた適切な方法
Nasal screening and Staphylococcus aureus decolonization for total hip arthroplasty patients:what is the most cost-effective strategy?
戸野塚 久紘
1
,
杉山 肇
1
,
田中 大輔
1
,
天神 彩乃
1
,
米本 圭吾
1
,
佐藤 龍一
1
,
斎藤 充
2
H. Tonotsuka
1
,
H. Sugiyama
1
,
D. Tanaka
1
,
A. Amagami
1
,
K. Yonemoto
1
,
R. Sato
1
,
M. Saito
2
1神奈川リハビリテーション病院整形外科
2東京慈恵会医科大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Kanagawa Rehabilitation Hospital, Atsugi
キーワード:
THA
,
periprosthetic joint infection
,
nasal decolonization
Keyword:
THA
,
periprosthetic joint infection
,
nasal decolonization
pp.48-53
発行日 2022年4月25日
Published Date 2022/4/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei81_48
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は じ め に
人工股関節全置換術(THA)において,鼻腔内保菌が手術部位感染(SSI)と関連があり,その原因菌がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)や,これを含む黄色ブドウ球菌(黄ブ菌)である場合は,しばしば難治性となることが知られている.また,その保菌宿主に関しての整形外科手術におけるSSI発生率は,MRSA保菌者において6.9倍,メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)保菌者において2.8倍とされるなど1,2),感染リスクが高いと考えられている.中でも,MRSAの保菌の65%は鼻腔内から検出されたという報告3)や,ムピロシンカルシウム水和物による鼻腔内除菌により,ほかの体表部位の黄ブ菌も減らすことができるという報告4)もあり,全身の部位のなかでも鼻腔内における保菌が重要であると考えられている.このようなことから,THAを施行する際には,手術前にMRSAもしくは黄ブ菌の鼻腔内保菌検査および除菌を行うことが推奨されており5~7),効果的な保菌検査および除菌方法を検討し,実行していくことはきわめて重要である.
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