Japanese
English
骨・軟部腫瘍のマネジメント(その2) Ⅱ.悪性軟部腫瘍の治療
頭皮部発生肉腫の手術的治療マネジメント
-――頭皮部発生類上皮肉腫の1例
Surgical management for a rare scalp epithelioid sarcoma
小柳 広高
1
,
佐藤 信吾
2
,
本橋 正隆
3
,
吉井 俊貴
3
,
大川 淳
3
H. Koyanagi
1
,
S. Sato
2
,
M. Motohashi
3
,
T. Yoshii
3
,
A. Okawa
3
1埼玉県立がんセンター整形外科
2東京医科歯科大学がん先端治療部
3東京医科歯科大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Saitama Cancer Center, Saitama
キーワード:
epithelioid sarcoma
,
head and neck sarcoma
,
scalp sarcoma
,
surgical margin
,
surgery
Keyword:
epithelioid sarcoma
,
head and neck sarcoma
,
scalp sarcoma
,
surgical margin
,
surgery
pp.27-30
発行日 2021年10月25日
Published Date 2021/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei80_27
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に
軟部肉腫は一般にほかの癌腫と比較して局所浸潤性が強く,再発しやすい悪性腫瘍である.発生頻度は非常にまれで,年間10万人あたり5人程度に発生する.頭頚部に発生する肉腫はさらにめずらしく肉腫全体の10%未満,成人頭頚部悪性腫瘍の1%未満といわれている1,2).そのため頭頚部発生肉腫は頭頚部領域を扱う外科医にとって治療機会のきわめて少ない疾患である.また頭頚部という部位は,肉腫手術の経験が豊かな整形外科骨・軟部腫瘍外科医でも扱うことのない領域である.したがって頭頚部発生肉腫の手術的治療はむずかしく,実際に再発率,予後ともに非常に不良であることが知られている.
本研究でわれわれは,頭皮部に発生し頭蓋骨に浸潤したきわめて希少な類上皮肉腫の1例を経験した.整形外科が主治医となって複数科がそれぞれ役割を分担して手術的治療にあたり良好な治療経過が得られている.この頭皮部肉腫に対する整形外科主導の治療マネジメントは,適切な切除縁による腫瘍切除と高度な機能再建を可能にし,頭皮部あるいは頭頚部発生肉腫に対する適切な手術的治療の手がかりになりうると考えたので報告する.
© Nankodo Co., Ltd., 2020