Japanese
English
骨・軟部腫瘍のマネジメント(その2) Ⅱ.悪性軟部腫瘍の治療
悪性軟部腫瘍肺転移に対する治療アプローチ
Treatment approach for pulmonary metastasis in patients with soft tissue sarcoma
河本 旭哉
1
,
森下 雅之
2
,
原 仁美
1
,
藤田 郁夫
2
,
黒田 良祐
1
,
秋末 敏宏
3
T. Kawamoto
1
,
M. Morishita
2
,
H. Hara
1
,
I. Fujita
2
,
R. Kuroda
1
,
T. Akisue
3
1神戸大学大学院整形外科
2兵庫県立がんセンター整形外科
3神戸大学保健学科
1Dept. of Orthop. Surg., Kobe University Graduate School of Medicine, Kobe
キーワード:
soft tissue sarcoma
,
pulmonary metastasis
,
lung
,
metastasectomy
,
survival
Keyword:
soft tissue sarcoma
,
pulmonary metastasis
,
lung
,
metastasectomy
,
survival
pp.21-26
発行日 2021年10月25日
Published Date 2021/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei80_21
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は じ め に
悪性軟部腫瘍(soft tissue sarcoma:STS)は筋肉,脂肪,神経,その他の軟部組織から生じる間葉起源の悪性腫瘍であり,発生率が年間10万人あたり3人程度と非常にまれな疾患である1,2).本疾患の遠隔転移好発臓器は肺であり,高悪性度STS患者の約50%に肺転移が生じ,原発病変の診断から2年以内に発生することが多いと報告されている3,4).STSの治療は,原発病変に対しては手術・化学療法・放射線療法を組み合わせた集学的治療によって良好な成績が得られているが,化学療法の奏効率は約25~30%と決して高くはない5,6).それゆえ,STS患者における主な死亡原因は肺転移であり,肺転移に対する治療選択が患者予後に重要である.
STS患者の肺転移に対する治療はいまだ確立されたものはないが,肺転移巣切除が生存期間を延長させる可能性についての報告は散見される7~10).化学療法の効果は原発病変と同様に限定的であり,肺転移巣切除の補助療法としての効果も示されていないことから11~13),STS肺転移患者においては生活の質(QOL)を改善するための緩和療法として行われることが多い14~16).
本研究では,STS肺転移患者において,肺転移後生存に影響する因子を解析し,特に肺転移病変に対する治療アプローチが肺転移後生存に与える影響を検討したので報告する.
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