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は じ め に
粘液線維肉腫は間葉系幹細胞由来の悪性軟部肉腫であり,以前は粘液型悪性線維性組織球腫(myxoid malignant fibrous histiocytoma:myxoid MFH)と呼ばれていたが,2002年の世界保健機関(WHO)腫瘍組織分類で粘液線維肉腫(myxofibrosarcoma:MFS)と分類されるようになった.しかし,MFSという病名は専門家以外にはあまり知られていない.表在性に発生することがあるため,ガングリオンや粘液腫,神経鞘腫などの良性軟部腫瘍として非専門施設で辺縁切除術を施行されることもある.
MFSは60~70歳の四肢に好発し,軟部肉腫の約20%を占める代表的な軟部肉腫である1).MFSは皮下から筋肉内までさまざまな部位に発生し,診断にはMRIが有用である.MRIでは粘液性の間質を反映してT2強調画像で高信号を呈することが多い.また,T2強調画像またはshort T1 inversion recovery(STIR)で高信号域が筋間へ線状に認めることがあり,tail signと呼ばれている.Tail signはMFSの浸潤性増殖パターンと相関しているとされている2,3).化学療法の効果が乏しいことも多く,標準的な治療法は広範切除術である.よって,広範切除の際にMRIを用いた切除縁の検討が必須である.一方で,ほかの軟部肉腫よりも強い浸潤性を有するため,ある程度の切除縁を確保したとしても断端が陽性となることがある.切除術後の局所再発は22~79%の症例で認め,ほかの軟部肉腫と比較すると再発率は高い4).また,局所再発は生命予後に関与するため,局所再発を予防することは重要である.MFSの治療を行ううえで,術後局所再発を減少させることがもっとも重要であり,そのためには局所再発に関与する因子を検討することが必要である.
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