Japanese
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骨・軟部腫瘍のマネジメント(その2) Ⅲ.良性骨腫瘍・腫瘍類似疾患の治療
4)その他
内軟骨腫掻爬後の骨欠損に対する多孔質ハイドロキシアパタイト・コラーゲン複合体の有用性
Regeneration of an enchondroma defect of the hand under the influence of porous hydroxyapatite/type 1 collagen composite implantation
土田 真嗣
1
,
白井 寿治
1
,
寺内 竜
1
,
下村 征史
1
,
林 大智
1
,
高橋 謙治
1
S. Tsuchida
1
,
T. Shirai
1
,
R. Terauchi
1
,
S. Shimomura
1
,
D. Hayashi
1
,
K. Takahashi
1
1京都府立医科大学大学院運動器機能再生外科学
1Dept. of Orthop., Graduate School of Medical Science, Kyoto Prefectural University of Medicine, Kyoto
キーワード:
enchondroma
,
porous hydroxyapatite/type 1 collagen composite
,
implantation
,
hand tumor
Keyword:
enchondroma
,
porous hydroxyapatite/type 1 collagen composite
,
implantation
,
hand tumor
pp.84-89
発行日 2021年10月25日
Published Date 2021/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei80_84
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は じ め に
骨腫瘍を掻爬あるいは切除した結果,自然治癒が期待できないほどの欠損が生じた場合,なんらかの材料を欠損部に移植する.中でも自家骨は骨癒合と骨リモデリングにおいて高い有効性と安全性を合わせ持つ移植材料である.しかし,自家骨移植術には,手術時間の延長を要すること,健常部における新たな皮膚切開が必要であること,採取部の神経障害や骨折などの合併症を完全に回避できないことなどの欠点がある.そのため,骨欠損部に人工骨を補塡することも多い1).骨組織は,無機成分としての非化学量論的な炭酸含有水酸アパタイトと有機成分としてのⅠ型のコラーゲンをもつナノ複合体である.その特徴から,無機材料と有機材料を複合化した人工骨が骨補塡材料として有用である可能性がある.
近年開発された多孔質ハイドロキシアパタイト・コラーゲン(HAp/Col)複合体は,無機成分である低結晶性リン酸カルシウムと有機成分であるブタ真皮由来のⅠ型アテロコラーゲンからなる気孔率92~98%の白色多孔体であり,重量比は生体骨と同様HA:Col=80:20で構成されている2).HAp/Col複合体は高い骨伝導能と生体吸収性を有しており,手指のように早期の運動療法が必要で,外傷にさらされやすい部位の骨補塡材料として有用である可能性がある.
本稿では,手指に発生した内軟骨腫に対する腫瘍掻爬後の骨欠損に対する補塡材料としてのHAp/Col複合体の有用性について述べる.
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