Japanese
English
Lecture
軟部肉腫におけるUnplanned Excision
Unplanned Excision in Patients with Soft Tissue Sarcoma
中村 知樹
1
Tomoki NAKAMURA
1
1三重大学大学院医学系研究科整形外科学
1Department of Orthopaedic Surgery, Graduate School of Medicine, Mie University
キーワード:
無計画手術
,
unplanned excision
,
軟部肉腫
,
soft tissue sarcoma
Keyword:
無計画手術
,
unplanned excision
,
軟部肉腫
,
soft tissue sarcoma
pp.1349-1352
発行日 2022年11月25日
Published Date 2022/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408202488
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Unplanned excisionとは
軟部肉腫は希少がんであり,すべてのがんの1%程度と言われている1).そのため,皮下や筋肉に発生した軟部腫瘍に対して肉腫と思わずに,安易に切除をしてしまうことがある.MRIなどの適切な術前検査や生検を行わずに切除した結果,病理診断が悪性であった治療はunplanned excision(UE)と呼ばれ,1985年にGiulianoら2)によって呼称された.UEは無計画手術や不適切切除という言葉が本邦では使われている.MRIの読影が良性腫瘍だったので辺縁切除を行った場合も,生検をしていなければUEである.また,切除生検は2cm以下の皮下の腫瘍では考慮してよいと『軟部腫瘍診療ガイドライン2020』にも提言されているが,切除前の検査や手術手技も悪性を想定した手順でなければならない3).5cmの軟部肉腫に対して切除生検したということは定義上ないはずであり,針生検や切開生検などを行わずに辺縁切除すれば,たとえ術前MRIを撮影して,麻酔や皮膚切開の方向などが軟部肉腫の切除に準拠していてもUEである.
本邦では1年間に発生する軟部肉腫の約11%にUEが生じている4).UEが生じる背景には特徴があり,一番多いパターンは,皮下にできた小さな軟部肉腫である.一般的に軟部肉腫を疑う腫瘍は筋膜より深く,5cm以上であるため,その逆の場合にUEが生じている.
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