Japanese
English
骨粗鬆症と骨粗鬆症関連骨折に対する診断と治療 Ⅰ.診断と評価
後弯変形の評価は全脊柱アライメントで十分か
-――後弯変形を伴う高齢者の姿勢および三次元動作解析による検討
Is assessment of global spinal alignment sufficient in evaluation for kyphotic deformity? Three-dimension motion analysis of posture and gait of aged patients with kyphotic deformity
町田 正文
1
,
加藤 裕幸
2
,
三宅 敦
3
,
福田 健太郎
4
M. Machida
1
,
H. Kato
2
,
A. Miyake
3
,
K. Fukuda
4
1博慈会記念総合病院整形外科
2東海大学整形外科
3防衛医科大学校整形外科
4済生会横浜市東部病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Hakujikai Healthcare Foundation, Tokyo
キーワード:
kyphosis
,
posture
,
alignment
,
balance
Keyword:
kyphosis
,
posture
,
alignment
,
balance
pp.34-38
発行日 2020年10月31日
Published Date 2020/10/31
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei78_34
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は じ め に
ヒトの脊柱は,加齢に伴う組織変化などにより頚椎や胸椎の弯曲が増大する.特に胸椎の後弯がすすみ,腰椎の前弯が減少・消失する後弯は高齢者によくみられる変形である.また,高齢者の立位姿勢では抗重力筋の筋力低下や脊柱支持組織の加齢変化により,胸椎を主体とした脊柱全体の後弯変形やその代償としての骨盤後傾位といった姿勢のアライメント変化を生じる.これまで姿勢変化の評価には,全脊柱X線撮影による冠状面像および矢状面像の計測が行われてきた.しかし,撮影は静的な状態で行われているうえ,撮影肢位はいまだ確立されておらず,さらに撮影中に姿勢が膝・股関節に代償され矯正されることもある.このことから脊柱後弯の評価を全脊柱矢状面X線像のみでとらえるのではなく,骨盤・下肢矢状面像を含めた姿勢として評価すべきである.さらに,姿勢異常や腰痛などの症状は歩行や活動によって発現,増強することが多く,姿勢異常を動的な状態でとらえることは,より的確な診断や治療を可能にする.
筆者らは国立病院機構村山医療センターで脊柱後弯変形を対象に立位安静時の姿勢,姿勢動揺テストおよび歩行時の全身運動の解析を行い,治療法選択のための補助診断としての新たな取り組みを行ってきた.その研究結果をもとに,現時点での考えを紹介する.
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