Japanese
English
鏡視下手術の進歩――小関節から脊椎まで Ⅵ.膝関節
ロッキングを呈する円板状半月に対する外側半月前角後方線維リリース併用関節鏡視下半月縫合術
Arthroscopic meniscal sparing technique with release the cord-like anterior horn of discoid lateral meniscus
鈴木 智之
1
T. Suzuki
1
1札幌円山整形外科病院
1Sapporo Maruyama Orthopedic Hospital, Sapporo
キーワード:
discoid lateral meniscus
,
peripheral instability
,
meniscus repair
Keyword:
discoid lateral meniscus
,
peripheral instability
,
meniscus repair
pp.200-205
発行日 2020年4月20日
Published Date 2020/4/20
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei77_200
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は じ め に
円板状半月は0.4~17%の有病率1)であるが,特にアジア人種に多いと報告されている2,3).円板状半月は正常の外側半月より大きく厚い形状で損傷をきたしやすく,疼痛,クリック音,ロッキングなどの症状を呈する.近年,有症状の円板状半月の38~88%は円板状半月周囲の不安定性(peripheral instability in discoid lateral meniscus)であることが報告され4,5),単純な半月切除術より縫合を併用した形成術が推奨されている6).しかしながら,squaringやcondylar cutoff sign7)で知られるように成人(骨端線閉鎖後)の円板状半月を有する膝関節はそれに適合した形態である.そのため関節鏡視下円板状半月の形成術に関しては,適切な切除量や目標とする半月の形状に関する根拠,情報に乏しい.
一方で,円板状半月の体部中央の組織は線維配向もばらつき脆弱である8).円板状半月の切除量を最小化し縫合術を加えたとしても術後に半月の逸脱や変形性関節症の悪化は避けられない9,10).したがって筆者らは,ロッキングを呈する症状の強い円板状半月症例に対する関節鏡視下手術のポイントとして丈夫な組織であるperipheral rim,free edgeを触らず(切除を加えない),脆弱な半月体部を露出させないことにしている.本稿ではロッキングを主とする有症状の円板状半月に対する関節鏡視下手術の詳細について概説する.
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