Japanese
English
鏡視下手術の進歩――小関節から脊椎まで Ⅵ.膝関節
症候性膝蓋下滑膜ひだに対する鏡視下切除術
Arthroscopic excision to symptomatic infrapatellar plica
中村 光宏
1
,
曽田 是則
1
M. Nakamura
1
,
Y. Soda
1
1広島市立広島市民病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Hiroshima City Hiroshima Citizens Hospital, Hiroshima
キーワード:
symptomatic infrapatellar plica
,
anterior knee pain
,
arthroscopic excision
Keyword:
symptomatic infrapatellar plica
,
anterior knee pain
,
arthroscopic excision
pp.206-209
発行日 2020年4月20日
Published Date 2020/4/20
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei77_206
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は じ め に
膝の滑膜ひだは胎生期の滑膜性隔壁の遺残正常組織であり,その発生起源より膝蓋上,膝蓋内側,膝蓋下,膝蓋外側の4種類が同定されている(図1).その中で膝蓋下滑膜ひだは,一般的にはligamentum mucosumとして知られ,大腿骨顆間窩の前方から起こり,前方へ下行し,前十字靱帯の上方を平行に走行し,膝蓋下脂肪体に付着する.Kimらは200例の関節鏡所見から膝蓋下滑膜ひだは85.5%に存在し,その形態より4つの型に分類でき,separate typeが最多であったと報告している(図2)1).膝蓋下滑膜ひだは通常,臨床症状を呈することはほとんどないが,その正常な弾性を失い,線維化を生じると,膝の動的な障害の原因となり,時として症候性となりうる.症候性膝蓋下滑膜ひだの病態は,膝への外傷などが契機となり炎症が惹起され,滑膜ひだの線維化,肥厚化,弾性低下,緊張する索状物への変化,大腿骨顆間窩とのインピンジメント,連続する膝蓋下脂肪体後面の炎症,また膝蓋骨軟骨面の変化などを引き起こし膝前面痛の要因となりうる.
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