変性半月板の治療法 -――温存への試み

Treatment of degenerative meniscus：meniscus repair and regeneration

は じ め に

　半月板は，膝関節の安定性，荷重の分散・緩衝，回旋の制御，関節液の潤滑などの機能をもつ組織である．半月板は脛骨関節面に内側と外側に三日月状の形態をしており，前角と後角で脛骨に付着している．それ以外の部位は，関節包に付着しており，膝関節の屈曲・伸展運動に伴い半月も前角と後角を支点として移動する．外側半月板は，膝窩筋裂孔では関節包に付着していないため，可動性が高く，その移動量は内側半月板に比べ大きいことが知られている（図1）^1）．

　半月板は，栄養血管が関節包辺縁から体部の約1/3までという解剖学的特徴^2）から，血流に乏しく，一度損傷すると修復に難渋する組織でもある．さらに半月板は，加齢とともに変性を生じ，軽微な外傷や負荷によって断裂を生じやすくなる．中高年の変性半月板に生じた損傷の治療はより一層難渋するということになる．われわれが施行している変性半月板損傷への治療について述べる．