Japanese
English
運動器疾患に対する保存的治療――私はこうしている Ⅴ.下肢疾患に対する保存的治療
肉ばなれに対する超音波ガイド下多血小板血漿療法
-――積極的保存的治療の開発をめざして
Ultrasound-guided platelet-rich plasma injection treatment for muscle strain
谷口 悠
1
,
金森 章浩
2
,
植村 健太
3
,
田中 利和
4
,
山崎 正志
2
Y. Taniguchi
1
,
A. Kanamori
2
,
K. Uemura
3
,
T. Tanaka
4
,
M. Yamazaki
2
1いちはら病院整形外科
2筑波大学医学医療系整形外科
3ヴェルディクリニック
4キッコーマン総合病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Ichihara Hospital, Tsukuba
キーワード:
muscle strain
,
platelet-rich plasma
,
MRI
,
ultrasound-guided injection
Keyword:
muscle strain
,
platelet-rich plasma
,
MRI
,
ultrasound-guided injection
pp.88-94
発行日 2019年10月25日
Published Date 2019/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei76_88
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は じ め に
筋損傷は,スポーツ現場でトレーナーやドクターがみる機会の多いスポーツ傷害で,すべてのスポーツ外傷の10~55%を占める.病態としては直達外力による筋打撲傷(muscle contusion)と介達外力によるいわゆる肉ばなれ(muscle strain)がある.急性期における治療は,いわゆるRICE[Rest(安静),Icing(冷却),Compression(圧迫),Elevation(挙上)]処置が一般的で,亜急性期から慢性期では理学療法,物理療法,装具療法,薬物療法,トレーニング指導などが行われるが,肉ばなれの場合,競技復帰までに数週間から数ヵ月を要すること,復帰後の再受傷率が高く,選手は競技からの長期離脱を余儀なくされ,治療に難渋することもしばしばである.従来行われてきたRICEや薬物療法(消炎鎮痛薬の内服)は症状緩和のための対症療法であり,筋損傷の病態に対する生物学的修復をめざした治療法ではない.
われわれは,肉ばなれの積極的保存的治療の開発を目指して,競技復帰までに期間を要し再受傷率の高い腱膜損傷を伴う肉ばなれに対し,超音波ガイド下多血小板血漿(platelet-rich plasma:PRP)局所注射を行っている.本治療法について,症例や画像の評価法,注射方法などを文献的考察を交えながら紹介する.
© Nankodo Co., Ltd., 2019