Japanese
English
運動器疾患に対する保存的治療――私はこうしている Ⅴ.下肢疾患に対する保存的治療
変形性膝関節症に対する多血小板血漿療法
Platelet-rich plasma(PRP)for the treatment of knee osteoarthritis in our hospital
和才 志帆
1
,
佐藤 正人
1
,
前原 美樹
1
,
渡辺 雅彦
1
S. Wasai
1
,
M. Sato
1
,
M. Maehara
1
,
M. Watanabe
1
1東海大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Surgical Science, Tokai University, School of Medicine, Isehara
キーワード:
OA
,
platelet-rich plasma
,
autologous protein solution
,
cytokines
Keyword:
OA
,
platelet-rich plasma
,
autologous protein solution
,
cytokines
pp.98-103
発行日 2019年10月25日
Published Date 2019/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei76_98
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は じ め に
近年,変形性膝関節症(osteoarthritis of the knee:KOA)に対して多血小板血漿(platelet-rich plasma:PRP)関節内注射による除痛,炎症抑制,軟骨再生効果が示唆されており1,2),本邦におけるPRP療法は普及しつつある.さまざまなPRP精製キットも発売されており,精製方法により含有する血球成分や液性因子の組成も異なる.PRPは含有する白血球成分によってpure PRPまたはleucocyte-poor PRP(LP-PRP),leucocyte-rich PRP(LR-PRP)に大別される3).最近では,LR-PRPの中でもさらにサイトカインなどが濃縮されたautologous protein solution(APS)も注目されている4).
当院では再生医療等安全性確保法にのっとり,第二種再生医療等提供計画として2018年9月より自由診療で膝関節疾患に対するPRP療法を開始した.APSキット(Zimmer Biomet社,Warsaw)[Z群]とセルエイドPタイプ(JMS社,広島)[J群]の2種類の分離キットを採用しており,Z群ではLR-PRP(APS),J群ではLP-PRPが精製される.
2018年7月に健常者10例を対象に運用テストを行い,その後,2018年9月からKOA患者にPRP療法を行っている.現在,われわれは得られたサンプルを用いてZ群,J群間における液性因子の組成や効果の差異を検討しており,本稿では文献的考察を加えてその研究結果を報告する.なお,本研究は東海大学医学部臨床研究審査委員会の承認を得て実施した.
© Nankodo Co., Ltd., 2019