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運動器疾患に対する保存的治療――私はこうしている Ⅰ.巻頭トピックス
保存的治療を選択した大腿骨近位部骨折患者に対して整形外科医は内科主科での治療を希望している
-――91例のロジスティック回帰分析を用いた検討
Orthopedic surgeons want physicians to treat the fragility hip fracture patients with non-operative management;logistic regression analysis of 91 patients
井上 三四郎
1
,
村岡 辰彦
2
,
井上 隆広
1
S. Inoue
1
,
T. Muraoka
2
,
T. Inoue
1
1宮崎県立宮崎病院整形外科
2宮崎県立延岡病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Miyazaki Prefectural Miyazaki Hospital, Miyazaki
キーワード:
hip fracture
,
conservative treatment
,
orthopedic surgery
Keyword:
hip fracture
,
conservative treatment
,
orthopedic surgery
pp.2-6
発行日 2019年10月25日
Published Date 2019/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei76_2
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は じ め に
大腿骨近位部骨折は,複数の内科合併症を抱えたmultimorbidityな高齢者に好発する.彼らの大多数はフレイルであり1),入院中に誤嚥性肺炎,転倒,せん妄などの多くの合併症を発症する.その対策として,米国ではホスピタリストによるco-managementが広く浸透している2~4).英国では,大腿骨近位部骨折に対して老年専門医が術前評価を行うシステムが確立している5).わが国でも,先進的な病院は初療時より内科とコラボレーションするシステムを採用している5,6).
一方当院では,整形外科が大腿骨近位部骨折患者の主科となる.そして整形外科医が術前検査を行い,適時各診療科にコンサルトし,手術を執刀し,周術期管理を行い,転院を調整する.この古典的なシステムの問題点は,整形外科医が全身管理をするには荷が重い症例も含まれていることである.整形外科医が内科への転科を希望しても,その決定権は内科医にある.彼らが首肯しなければ,転科転棟は実現しない.
本稿の目的は,大腿骨近位部骨折患者の主科についての当院の現状と,整形外科医が転科を希望した患者の特徴を調査することである.
© Nankodo Co., Ltd., 2019