デンバー仙腸関節質問票を用いた仙腸関節障害例の機能評価

Functional assessment of sacroiliac joint disorder using the Denver SI-Joint Questionnaire

は じ め に

　仙腸関節障害（sacroiliac joint disorder：SIJD）の機能評価について，これまで一般的な腰痛に対応するRoland-Morris Disability Questionnaire（RDQ：0～24点）^1）を用いてきた．しかし質問項目にはSIJD例に適応しないものや，重複しているものも含まれておりSIJDの評価には不十分であった．一方，コロラド大学で開発されたデンバー仙腸関節質問票（Denver SI-Joint Questionnaire：DSIJQ）^2）は，仙腸関節部の痛みについて問う形式で，椅子坐位可能時間や仙腸関節部の不安定性などSIJDで生じうる10項目の障害を評価する質問票（0～50点：点数が高いほど重症）であり，手術と保存的治療のどちらでも使用可能である^3,4）．臨床的に意義のある最小変化（minimal clinically important changes）^5）に関して，RDQでは治療前後で30％以上の改善とされるが，DSIJQにはまだ基準がない．

　本研究では，SIJD例においてDSIJQとRDQの得点を評価することで両者の相関を調査し，さらにDSIJQにおいて臨床的に有効と判断できる最小変化量のカットオフ値を検討した．