Japanese
English
運動器疾患に対する保存的治療――私はこうしている Ⅵ.脊椎,骨盤疾患に対する保存的治療
頚椎症性神経根症に対する超音波ガイド下頚部神経根ブロック
Ultrasound-guided cervical nerve root block is an effective and safe conservative treatment for cervical spondylotic radiculopathy
村田 鎮優
1
,
岩﨑 博
1
,
山田 宏
1
S. Murata
1
,
H. Iwasaki
1
,
H. Yamada
1
1和歌山県立医科大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Wakayama Medical University, Wakayama
キーワード:
cervical spine
,
selective nerve root block
,
ultrasonography
,
cervical spondylotic radiculopathy
,
conservative treatment
Keyword:
cervical spine
,
selective nerve root block
,
ultrasonography
,
cervical spondylotic radiculopathy
,
conservative treatment
pp.124-129
発行日 2019年10月25日
Published Date 2019/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei76_124
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は じ め に
頚椎症性神経根症は予後良好な疾患である1)ため,保存的治療が第一選択となる.これまで,頚部装具固定による局所安静と各種薬物治療の併用が原則とされ,十分な除痛効果が得られない場合には頚部神経根ブロックが行われてきた.頚部神経根ブロックは主として透視下で実施されてきたが,患者に苦痛(再現痛誘発)を与えることと験者,被験者ともに放射線にさらされることが不可避の問題であった.また,血管誤穿刺や神経障害などの重篤な合併症のリスクも高い2~6)とされ,安易に選択できる治療手段ではなかった.
一方で,近年の超音波装置の発達にともない,超音波ガイド下で各種医療行為を安全かつ正確に実施することが可能となった.超音波装置を頚部神経根ブロックに用いることで神経根周囲および針刺入経路の血管を可視化することが可能となり,血管誤穿刺が回避可能となった.また,標的神経根の同定が容易となったためブロック針の刺激による再現痛を得る必要性がなくなり,患者に苦痛を与えずに神経根ブロックを実施できるようになった.神経根周囲の薬液注入量も調節可能であり,標的神経根の確実なブロック効果を得ることができ,責任高位診断の精度も向上している.
われわれは,当院で実施している超音波ガイド下頚部神経根ブロックの手技を紹介するとともに,安全性と有効性,注意点について検討したので報告する.
© Nankodo Co., Ltd., 2019