Japanese
English
しびれ・痛みに対する整形外科診療の進歩 Ⅱ.疾患・病態別の診断・治療
5.診断法
神経磁界計測による脊髄から末梢神経までの機能診断
Evaluation of neural function in spinal cord and peripheral nerve by neuromagnetic measurement
川端 茂徳
1
,
佐々木 亨
2
,
渡部 泰士
2
,
関原 謙介
1
,
足立 善昭
3
,
大川 淳
2
S. Kawabata
1
,
T. Sasaki
2
,
T. Watanabe
2
,
K. Sekihara
1
,
Y. Adachi
3
,
A. Okawa
2
1東京医科歯科大学先端技術医療応用学講座
2東京医科歯科大学整形外科
3金沢工業大学先端電子技術応用研究所
1Dept. of Advanced Technology in Medicine, Graduate School of Tokyo Medical and Dental University, Tokyo
キーワード:
magnetospinography
,
magnetoneurography
,
spinal cord function
,
brachial plexus
,
carpal tunnel
Keyword:
magnetospinography
,
magnetoneurography
,
spinal cord function
,
brachial plexus
,
carpal tunnel
pp.206-211
発行日 2018年10月30日
Published Date 2018/10/30
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei74_206
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は じ め に
「しびれや痛みの診療」において,神経機能評価は診断のみならず,治療方針の決定に大きな役割を果たしている.神経機能評価の基本はていねいに神経学的所見をとることであるが,診断に迷う場合や神経機能を定量化したいときには電気生理学的検査が有用である.電気生理学的検査は,豊富なエビデンスがある優れた検査法であるが,体表から深い神経の詳細な障害部位診断をすることは原理的にむずかしい1).たとえば脊椎では,硬膜外腔に電極を挿入し脊髄誘発電位を測定することで,脊髄の伝導障害部位の診断が可能である2,3)が,術前診断としては侵襲性が高いために普及していない.
神経磁界計測は,神経活動電流から発生する磁界を計測することで,体表から深く,骨組織に囲まれている部位でも,神経の電気活動を高い空間分解能で推定できる優れた検査法である.1990~2000年代前半に,末梢神経4~6)や脊椎7,8)の神経誘発磁界測定の報告が多くなされたが,神経電気活動の表示方法や,障害部位診断法が確立していなかったために,臨床応用されなかった.2000年代後半から,電流源推定法の進歩9),神経刺激のアーチファクト除去法10)の開発,磁界測定時の骨格位置取得法の開発により,臨床応用が可能となってきた.現在ではMRI,単純X線像などの形態情報に神経電気活動を重ね合わせて表示することができ,次世代の神経機能診断法として期待される.
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