Japanese
English
整形外科診療における最先端技術 Ⅰ.診断,評価
1.新しい画像・機能診断
生体磁界計測による神経活動イメージング
Functional imaging of neural activities by biomagnetic measurement
川端 茂徳
1
,
佐々木 亨
2
,
渡部 泰士
2
,
関原 謙介
1
,
足立 善昭
3
,
大川 淳
2
S. Kawabata
1
,
T. Sasaki
2
,
T. Watanabe
2
,
K. Sekihara
1
,
Y. Adachi
3
,
A. Okawa
2
1東京医科歯科大学先端技術医療応用学講座
2東京医科歯科大学整形外科
3金沢工業大学先端電子技術応用研究所
1Dept. of Advanced Technology in Medicine, Graduate School of Tokyo Medical and Dental University, Tokyo
キーワード:
magnetospinography
,
magnetoneurography
,
spinal cord function
,
brachial plexus
,
carpal tunnel
Keyword:
magnetospinography
,
magnetoneurography
,
spinal cord function
,
brachial plexus
,
carpal tunnel
pp.53-58
発行日 2019年4月25日
Published Date 2019/4/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei75_53
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は じ め に
生体磁界計測は,生体内の電流から発生する磁界を計測することで,生体内の神経,筋組織などの電気活動を高い空間分解能で把握できる優れた検査法である.生体磁気計測の歴史は意外に古く,1963年にBauleらによって鉄芯に電線を200万回巻きつけた電磁誘導コイルを用いてヒトの心臓の磁場がはじめて記録された1).その後1970年に超伝導量子干渉素子(superconducting quantum interference device:SQUID)を用いた超高感度の磁束計が開発され2),脳磁界や心臓磁界などの測定が始まった.1990年ごろに多チャンネルのSQUID磁束計が発売されると生体磁気計測の研究が急速に発展し,2000年ごろから脳と心臓については脳磁図,心磁図として臨床応用された.末梢神経3~5)や脊椎6,7)の神経誘発磁界測定については,1990~2000年代前半に多くの研究が行われたが,神経電気活動の表示方法や,障害部位診断法が確立していなかったために,臨床応用にはいたらなかった.
われわれは,1999年より脊髄,末梢神経磁界測定用の磁束計の開発を開始し,脊髄,末梢神経に最適化したハードウェアおよび信号処理法を開発することで,ようやく臨床応用が可能になってきた.現在ではMRI,単純X線像などの形態情報に,神経電気活動の機能情報を重ね合わせて表示することができ,次世代の神経機能診断法として期待される.本稿では,脊髄,末梢神経磁界測定を可能にした最先端技術を紹介する.磁界計測の応用については,本誌No.748)で報告したのでぜひ参照されたい.
© Nankodo Co., Ltd., 2019