Japanese
English
特集 脊椎の動きと神経の立ち振る舞い
動的要因により出現する末梢神経障害のメカニズム—外傷性の腕神経損傷を中心に
The Mechanism of the Peripheral Neuropathy Appeared by the Motorius Factor
寺尾 亨
1
,
斎藤 江美子
1
,
広川 裕介
1
,
谷 諭
2,3
,
村山 雄一
2
Tohru TERAO
1
,
Emiko SAITO
1
,
Yusuke HIROKAWA
1
,
Satoshi TANI
2,3
,
Yuichi MURAYAMA
2
1厚木市立病院脳神経外科
2東京慈恵会医科大学脳神経外科
3新百合ヶ丘総合病院脊椎脊髄末梢神経外科
1Department of Neurosurgery, Atsugi Municipal Hospital
キーワード:
末梢神経障害
,
peripheral neuropathy
,
腕神経叢
,
brachial plexus
,
外傷性胸郭出口症候群
,
traumatic thoracic outlet syndrome
Keyword:
末梢神経障害
,
peripheral neuropathy
,
腕神経叢
,
brachial plexus
,
外傷性胸郭出口症候群
,
traumatic thoracic outlet syndrome
pp.553-563
発行日 2023年1月31日
Published Date 2023/1/31
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201898
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はじめに
日常の臨床において,不可逆的な脊髄・末梢神経損傷は交通外傷や転落事故をはじめとした高エネルギー外傷に代表されるが,スポーツ外傷や分娩時の牽引損傷の際にも遭遇することがある.過去には,腕神経叢の牽引外傷の動物モデルを用いた神経修復に関連する適切な治療方法や治療開始の時期が報告されている6).Alantら1)は齧歯類の坐骨神経を剝離後,直交する50gの牽引をかけ同時に坐骨神経のtrifurcationに3秒間の最大圧迫を負荷した外傷モデルを作成した.このモデルの経時的な組織学的検討により,神経束内のコラーゲンの増生を伴う異常な軸索の発芽(aberrant axonal sprouting)と再生(regeneration)の存在を証明し,神経腫を有する動物の組織学的な特徴と機能回復の遅延との関連性を提唱した.ヒトにおいても脊椎の過屈曲・伸展および四肢の動きに伴って末梢神経は伸長・収縮を繰り返しており,動的因子の関与を正確に理解することは脊椎・末梢神経の手術を円滑に遂行するために重要である21).本稿では,腕神経叢をはじめとした末梢神経が外界からの衝撃を受けることで発症する神経損傷の機序,診断手順および治療方針につき解説する.
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