Japanese
English
しびれ・痛みに対する整形外科診療の進歩 Ⅱ.疾患・病態別の診断・治療
5.診断法
上肢末梢神経損傷の超音波画像診断
Ultrasonography of the peripheral nerve injury in the upper extremity
中島 祐子
1
,
砂川 融
2
,
四宮 陸雄
3
,
兒玉 祥
3
,
安達 伸生
3
Y. Nakashima
1
,
T. Sunagawa
2
,
R. Shinomiya
3
,
A. Kodama
3
,
N. Adachi
3
1広島大学大学院運動器超音波医学
2広島大学大学院上肢機能解析制御科学
3広島大学大学院整形外科
1Dept. of Musculoskeletal Ultrasound in Medicine, Hiroshima University, Hiroshima
キーワード:
ultrasonography
,
peripheral nerve
,
nerve injury
Keyword:
ultrasonography
,
peripheral nerve
,
nerve injury
pp.201-205
発行日 2018年10月30日
Published Date 2018/10/30
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei74_201
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は じ め に
診療に超音波検査を取り入れてから,当科の外来診療は大きく変化した.これまでリアルタイムに見えなかったものが見えるようになり,見えるようになったからわかるようになったこと,そしてできるようになったことがある1).高周波プローブが出現し,超音波装置の信号処理や画像構築技術が飛躍的に進歩したことで,整形外科がターゲットとする浅い部分の軟部組織を鮮明に描出することが可能となった.その空間分解能は0.2mmといわれている.超音波検査の恩恵をもっとも受けたのは,末梢神経損傷の診断であり,現在では画像診断の第一選択は超音波検査となっている2,3).
外傷性末梢神経損傷は,受傷時に診断されていない場合や,創治癒後に感覚障害を自覚することで発覚する場合も少なくない.手領域では神経間に交通枝が存在する4,5)ことから,神経が完全に断裂している場合でも支配領域が知覚脱失とはならないこともある.そのため,神経損傷を確実に診断する,またどの程度損傷されているのかの判断をすることが困難で,もう一度創を開けて神経を確認するべきか迷うことがある.治療方針を決定するうえで,超音波による神経損傷の診断は非常に有用である.
本稿では,超音波検査による上肢末梢神経損傷の診断について,症例を提示しながら解説し,本検査の方法,有用性を紹介する.
© Nankodo Co., Ltd., 2018