Japanese
English
しびれ・痛みに対する整形外科診療の進歩 Ⅱ.疾患・病態別の診断・治療
2.腰椎
腰椎後方すべりは姿勢異常を伴う
Lumbar retrolisthesis accompanies postural abnormality
三原 唯暉
1
,
戸川 大輔
2
,
長谷川 智彦
1
,
大和 雄
1
,
吉田 剛
1
,
松山 幸弘
1
Y. Mihara
1
,
D. Togawa
2
,
T. Hasegawa
1
,
Y. Yamato
1
,
G. Yoshida
1
,
Y. Matsuyama
1
1浜松医科大学整形外科
2浜松医科大学整形外科長寿運動器疾患教育研究講座
1Dept. of Orthop. Surg., Hamamatsu University School of Medicine, Hamamatsu
キーワード:
lumbar retrolisthesis
,
spinopelvic alignment
,
posture
Keyword:
lumbar retrolisthesis
,
spinopelvic alignment
,
posture
pp.128-131
発行日 2018年10月30日
Published Date 2018/10/30
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei74_128
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は じ め に
Glassmanら1)の報告によって立位矢状面における脊柱グローバルアライメントの重要性が提唱され,Schwabら2)の報告によって脊柱骨盤パラメータの健康関連QOL(HRQOL)との関与が明示された.これらの報告により脊椎外科領域において脊柱骨盤パラメータの評価の重要性が再認識されるようになり,特に脊柱変形疾患においてはこれらパラメータによる評価は不可欠となった.われわれも一般住民健診における腰椎後方すべり例での脊柱骨盤パラメータの関与を分析し報告している3).その報告のポイントの一つとして,脊柱後弯の大きい症例では後弯の下位終椎に腰椎後方すべりが発生しやすいことがあげられる.そこで腰椎後方すべりには姿勢異常が伴うのではないかという仮説が生まれた.姿勢異常の分類としては,Itoiらの分類が有名である.Itoiら4,5)は骨粗鬆症性脊椎における姿勢異常の分類を視覚的に理解しやすいシェーマ形式で報告している.一方でTakemitsuら6)は,lumbar degenerative kyphosis(LDK)の脊柱カーブ分類を全脊柱椎体アライメントで報告している.このようにGlassmanら1)によって脊柱グローバルアライメントが提唱される10年以上も前に立位矢状面における脊柱アライメントをグローバルに考える本邦発の分類が存在しているのである.今回はこれらの分類の中からItoiら4,5)のものを参考にして,腰椎後方すべりがどのように姿勢異常に関与しているかを調査した.
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