関節周辺骨折 最近の診断・治療
股関節 股関節鏡を用いて治療した大腿骨頭骨折
佐藤 栄一
1
,
萩野 哲男
,
山本 泰宏
,
佐藤 信隆
,
山下 隆
,
杉山 肇
1山梨大学 整形外科
キーワード:
関節鏡法
,
股関節
,
股関節部骨折
,
骨ネイル
,
吸収性インプラント
,
Poly(lactic Acid)
Keyword:
Arthroscopy
,
Bone Nails
,
Hip Fractures
,
Hip Joint
,
Absorbable Implants
pp.129-132
発行日 2009年10月10日
Published Date 2009/10/10
DOI https://doi.org/10.15106/J04037.2010044649
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27歳男。スキー滑走中に転倒して受傷した。初診時、右股関節に激痛を認め、屈曲、内転、内旋位に固定されていた。X線像で右股関節後方脱臼、股関節内に小骨片を認め、Thompson & Epstein分類のtype Vと診断した。直ちに徒手整復を行い、整復後のCTで大腿骨頭窩に骨折線および三日月型の骨折を認め、Pipkin分類のtype Iと診断した。翌日に股関節鏡を行い、大腿骨頭内側下方の非荷重部に出血を伴う骨折線を認めたが、骨片は転位しておらず、鏡視下で固定を試みた。骨折部に一致させて5mmの皮切りを加え、関節鏡外套管、さらにドリルガイドを挿入して1.8mmのKirschner鋼線による固定材刺入孔を作成し、2.0×30mmのポリ乳酸ピンを5本挿入して骨片を固定した。術後16週で右股関節の屈曲は100°と制限を認めたが、日常生活に不自由はなく、MRIでは骨壊死を疑わせる所見はなかった。術後10年経過し、右股関節に疼痛および可動域制限はなく、X線像にも異常はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2009