高齢者骨折に対する私の治療法
骨粗鬆症に伴う上肢の骨折 肘関節周囲 高齢者の肘関節外傷に対する人工肘関節全置換術
池上 博泰
1
,
森澤 妥
,
杉木 正
,
栩木 弘和
,
西脇 正夫
,
中道 憲明
,
佐藤 和毅
,
中村 俊康
1慶応義塾大学 整形外科
キーワード:
X線診断
,
関節可動域
,
関節リウマチ
,
偽関節
,
上腕骨骨折
,
肘関節
,
人工関節
,
関節置換術
Keyword:
Arthritis, Rheumatoid
,
Elbow Joint
,
Humeral Fractures
,
Joint Prosthesis
,
Radiography
,
Pseudarthrosis
,
Range of Motion, Articular
,
Arthroplasty, Replacement
pp.43-48
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.15106/J04037.2008055143
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2002~2006年に高齢者の肘関節外傷に対し、種々の理由から人工肘関節全置換術(TEA)を施行した17症例について検討した。1)受傷から3週間以内に手術を施行した新鮮例4例、陳旧例13例で、手術時平均年齢76歳、術後平均観察期間は2年9ヵ月であった。2)治療成績は新鮮例の平均JOAスコアは88点、陳旧例は86点で、術後感染例やセメントによる合併症を生じた症例はなかった。3)肘関節外傷新鮮例に対しては、高齢者の粉砕骨折であっても原則として観血的固定術を施行されていた。しかし、リウマチ患者や末期の癌患者の骨折、関節面の高度な粉砕骨折、認知症や全身状態等から観血的整復固定後の後療法が困難な場合にはTEAも選択肢の一つと考えられた。4)陳旧例では、長期間にわたる骨・軟部組織の不適合からその治療は更に難しく、腕尺関節の軟骨の磨耗や骨質・社会復帰までの期間を考慮すると、TEAは観血的整復固定術よりもむしろ良好な成績が期待できると示唆された。
©Nankodo Co., Ltd., 2007