脊椎疾患における鑑別診断と治療法選択の根拠
鑑別診断とその根拠 頸椎 頸椎症手術後のC5麻痺 神経根性か脊髄性か 頸椎椎弓形成術後の上肢運動麻痺 より正確な根拠を求めて
坂浦 博伸
1
,
細野 昇
,
向井 克容
,
藤井 隆太朗
,
海渡 貴司
,
岩崎 幹季
,
吉川 秀樹
1大阪大学 大学院器官制御外科学(整形外科)
キーワード:
頸椎
,
MRI
,
術後期
,
上肢
,
前向き研究
,
後縦靱帯骨化症
,
後向き研究
,
頸椎症性脊髄症
,
椎弓形成術
,
運動麻痺
Keyword:
Cervical Vertebrae
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Prospective Studies
,
Postoperative Period
,
Retrospective Studies
,
Ossification of Posterior Longitudinal Ligament
,
Upper Extremity
,
Laminoplasty
pp.18-22
発行日 2006年10月10日
Published Date 2006/10/10
DOI https://doi.org/10.15106/J04037.2007024922
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圧迫性頸髄症に対する頸椎椎弓形成術後の合併症の一つにC5麻痺に代表される上肢運動麻痺(上肢麻痺)がある。その原因論として神経根障害説と脊髄障害説があるが、どちらの説もこれまでに報告された研究は根拠が十分とは言い難い。そこで今回、上肢麻痺をできるだけ正確にとらえることを目標に前向き研究を行った。対象は2002~2005年に当科で椎弓形成術を施行した81例とし、上肢麻痺の発生頻度、麻痺の範囲、随伴症状、術後MRI T2強調像での髄内高輝度領域(HIA)と麻痺との関係などについて検討した。結果、10例(12.3%)に片側上肢麻痺を認め、麻痺の範囲は近位筋麻痺5例、遠位筋麻痺2例、広範麻痺3例であった。随伴症状は近位筋麻痺の1例で同側の肩外側部痛を認め、遠位筋麻痺の1例と広範麻痺の全例で同側の手に痺れ・異常感覚が術後新たに出現した。麻痺発生髄節は非麻痺髄節と比較して術後HIAの出現頻度が有意に高かった。これらの結果から麻痺の発生に脊髄障害が関与している可能性が示唆された。
©Nankodo Co., Ltd., 2006