発行日 2008年8月1日
Published Date 2008/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008330953
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70歳男。初診の2ヵ月前から右上肢の脱力、手指の巧緻運動障害および右手橈骨側の疼痛が出現し、初診1ヵ月前に頸椎症性脊髄症の診断で保存的治療を施行されたが、症状の改善がないため紹介受診した。初診時、筋力低下を認めたが感覚障害や歩行障害はなくJOAスコアは12点であった。単純X線側面像で頸椎の直線化を認め、MRIのT2強調画像でC3/C4椎間、C4/C5椎間における脊髄圧迫所見と髄内の高信号変化を認めた。以上よりC3/C4椎間、C4/C5椎間を責任高位とする頸椎症性脊髄症と診断し、C3~C5の片開き式椎弓形成術を施行した。術直後よりPhiladelphiaカラーを装着し、術後翌日より作業療法を開始した。術後8日でカラーを除去し10日に退院したが、術後8週に重労働の農作業を契機に後頸部痛が出現し、術後10週の再診所見ではC4の圧潰、C2-C7角-35°の後彎変形を認めた。CTのMPR矢状断像にC4椎体の圧潰とC5の頭側終板の破壊を認めた。MRIのT1強調矢状断像でC4-C5椎体の低信号変化とC4に前方からの軽度の脊髄圧迫所見を認めた。C4椎体圧潰と診断し、腸骨移植、プレート固定を併用しC3~C5前方除圧固定術を行った。術後ハローベスト固定を継続し術後2週間でPhiladelphiaカラーに変更し、術後5ヵ月で除去した。術後6ヵ月で上肢の疼痛、運動障害、感覚障害は認めずJOAスコアは17点に改善した。
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