発行日 2016年11月1日
Published Date 2016/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2017032220
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67歳女。しめ鯖を好み、毎年秋から冬にかけて新鮮な鯖を購入し自宅で作って毎日食べていた。今回、下腹部痛が出現し、徐々に増悪したため当院救急外来を受診した。単純CTで下行結腸の一部に壁肥厚を認め、他に腹痛の原因となるような病変は認められなかった。腹痛が持続するため1時間後に造影CTを施行することとした。その際、家族から「造影アレルギーが以前にあったかもしれない」との発言があったため、造影剤使用前にhydrocortisone 100mgを静注した。造影CTの所見は下行結腸の肥厚部分が造影剤で均一に増強され、炎症による壁肥厚が疑われたが、確定診断はできなかった。scopolamine butylbromide筋注後も腹痛が継続したため、絶食のうえ経過観察とした。翌日、圧痛はあるものの自発痛はほとんど消失していたため大腸内視鏡検査を行ったところ、下行結腸にアニサキス虫体を認めた。虫体は生検鉗子で摘出し、入院3日目に軽快退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2016