大腸アニサキス症の1例

70歳代女。腹痛を主訴とした。しめ鯖を摂取した翌日より腹痛、頻回下痢が出現し、症状出現2日目の受診時には心窩部痛･腹部圧痛を認めた。筋性防御や腸蠕動音亢進減弱はなく、検査所見では白血球上昇はみられなかったが、好酸球の軽度上昇とCRP上昇を呈した。腹部造影CTでは横行結腸の著明な壁浮腫があり、周囲に脂肪織濃度上昇や微量の腹水を認め、偽膜性腸炎や市中腸炎も考えられたが、摂食歴より大腸アニサキス症を疑った。大腸内視鏡では横行結腸に粘膜下主体の著明な壁浮腫があり、発赤中心部に粘膜内に頭部を刺入しているアニサキス虫体を認め、確定診断に至った。