発行日 2016年11月1日
Published Date 2016/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2017032221
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
急性精神病とは、2週間以内に急性発症し、幻覚、精神運動興奮、緊張病症状などを呈する精神疾患の総称であり、そのなかには脳炎や脳血管障害が潜んでいることがある。緊張病症状を呈する脳炎としては、ヘルペス脳炎を含む辺縁系脳炎が重要であるが、近年、非ヘルペス性辺縁性脳炎として抗NMDA受容体脳炎の報告が増加している。抗NMDA受容体脳炎の臨床経過は、精神科領域で悪性緊張病と呼ばれてきた病態と類似点が多く、これまで悪性緊張病と診断されてきた患者の一部は抗NMDA受容体脳炎であった可能性がある。今回、感冒症状後に急性発症の緊張病症状、常同運動および自律神経症状を呈した抗NMDA受容体脳炎の症例を経験したので、文献的考察を加えて報告した。症例は21歳男性で、ステロイドパルス療法や免疫グロブリン大量療法を行うことで症状は軽快した。
©Nankodo Co., Ltd., 2016