発行日 2015年3月1日
Published Date 2015/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2015156548
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75歳男。7年前に中部食道がんに対して化学放射線療法を施行され完全寛解となった。1年ほど前よりときおり労作時の咳嗽と呼吸困難感を自覚し、徐々に増悪した。胸部X線検査にて左胸水の貯留を認め、精査目的で入院した。胸水の試験穿刺を施行した。外観は白色で混濁し、胸水中トリグリセリド高値より乳び胸水と診断した。胸腔ドレナージを行い、脂質制限食、その後絶食のうえで完全静脈栄養としたがなおも排液を認めたため、オクトレオチドの持続静注とOK-432の胸腔内注入を行い、排液の減少が得られた。経過中、明らかな有害事象は認めなかった。現在は外来通院中であるが、胸水の再貯留は認めていない。乳び胸をきたすほかの原因を認めず、過去の放射線療法による影響がもっとも考えられた。
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