発行日 2015年3月1日
Published Date 2015/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2015156549
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54歳男。自らの意思で断食を決意し、食事を摂取しなかった。兄が無理矢理水分やヨーグルトを摂取させていたが、10日前から歩行時にふらつくようになりベッドから降りることができなくなった。このころより物が二重にみえる、揺れてみえるといった症状が出現した。呼びかけに反応不良となり救急要請となった。絶食のヒストリー、神経学的所見、特徴的なMRI所見よりWernicke脳症と診断し、塩酸チアゾリウムを5日間連続投与した。第2病日より意識レベル1~3と回復した。第6病日より作話がみられたが、第9病日で消失し正常の会話となり、意識レベルも清明となった。第2病日にみられた眼球運動障害は第6病日より消失した。入院初日は歩行不能であったが、第6病日より失調性の歩行となり、第12病日には正常となった。策15病日、後遺症なく退院となった。
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