発行日 2014年4月1日
Published Date 2014/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2014177018
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62歳女。糖尿病および腎症で加療中に糖尿病が悪化し入院となった。HbA1c(JDS)は9.3%で、左水腎症と尿管結石陥頓を伴い、更にEscherichia coli(ESBLs)を起因菌とする尿路感染を併発していた。PIPC(2g/day)による静注抗菌薬治療を行い軽快後、尿管結石に対し体外衝撃波結石破砕治療(ESWL)が施行されたが、退院から3ヵ月経過で食欲不振と倦怠感を自覚、腎機能障害と炎症反応の上昇を指摘され、尿路感染の診断で再入院となった。腹部エコーでは左腎被膜下に血腫様のecho free spaceがみられ、腹部CTでは両側に腎結石が認められた。また、左腎は腫大し、被膜下に9.3cmの低吸収領域もみられた。一方、尿培養からはESBLsが検出され、膿瘍病変が疑われ、入院3日目に泌尿器科へ転科となり、原因としてESWLの可能性が考えられた。そこで、造影CTを行なったところ、左腎被膜下に膿瘍を疑う不正な造影増強効果に伴う腫瘤確認されたほか、入院7日目には判別困難な左腎病変に試験穿刺を行い、血腫と診断され、ドレーン留置はせず穿刺のみで終了した。以後、高熱があるため抗菌薬の投与が継続されたが持続、入院29日目に内科で精査するも解熱せず、入院42日目に再度、泌尿器科にて左腎のspace occupying lesion(SOL)を穿刺した結果、粘調な性状の排液が吸引され、pigtailカテーテルを膿瘍腔に留置した。そして、暗赤色からクリーム色の膿を大量に吸引除去し、生食で洗浄を行うことで、炎症反応および発熱は改善し、患者は入院52日目に退院、培養ではESBLsが検出された。
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