症例
急性副鼻腔炎から波及したと考えられる硬膜下膿瘍の1例
岩田 直也
1
,
中川 権史
,
中西 祐斗
,
野末 圭祐
,
熊倉 啓
,
二村 元
,
西田 南海子
,
岩崎 孝一
,
秦 大資
1田附興風会医学研究所北野病院 小児科
キーワード:
Ampicillin
,
ドレナージ
,
Minocycline
,
硬膜下膿瘍
,
MRI
,
失語症-Broca
,
穿頭術
,
発熱
,
副鼻腔炎
,
連鎖球菌感染症
,
Clarithromycin
,
Streptococcus intermedius
,
頭部CT
Keyword:
Drainage
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Trephining
,
Fever
,
Clarithromycin
,
Streptococcal Infections
,
Minocycline
,
Empyema, Subdural
,
Aphasia, Broca
,
Sinusitis
,
Ampicillin
,
Streptococcus intermedius
pp.2067-2072
発行日 2021年12月1日
Published Date 2021/12/1
DOI https://doi.org/10.24479/J00648.2022162023
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症例は12歳男児。発熱・発語困難を主訴とした。髄液検査では、髄液の蛋白・細胞数の軽度増加を認めたが、有意菌の検出はなかった。頭部MRIにて、拡散強調画像で左前頭葉周囲、硬膜下領域に高信号域を認め、造影で硬膜の濃染肥厚像が認められた。以上より、左硬膜下膿瘍と診断した。頭部CTでは、前頭洞、上顎洞に左優位の副鼻腔炎も認めた。膿瘍は5mm以下と小さかったことから経過観察とした。入院2日目に意識レベルの低下と右口角、右手を中心とするけいれん発作が出現し、抗けいれん薬を投与した。頭部MRIを再検したところ、膿瘍の領域拡大と脳実質圧排増悪の可能性が示唆されたため、膿瘍の穿頭ドレナージを行った。術後、膿瘍容積の減少は認めたが、全身紅斑が出現した。薬疹を疑い、ampicillin(ABPC)にde-escalationを行い、抗けいれん薬も漸減した。副鼻腔炎はclarithromycin(CAM)の内服薬加療とした。その後、解熱維持、炎症反応の低下維持で、再けいれんなく経過していたが、ABPC、CAMを開始後、再度全身紅斑を認めた。薬疹を疑い、minocycline(MINO)に変更した。その1週間後も大腿部に紅斑が出現し、MINOを漸減したところ、発疹は消退し、退院となった。抗菌薬投与は、入院後から8週間で終了とし、その後も症状再燃なく経過した。
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