発行日 2012年11月1日
Published Date 2012/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013083890
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60歳男。腹部超音波検査で臍左側に低エコーを呈する径5cm大の腫瘍性病変を指摘された。LDHと軽度のトランスアミナーゼの高値のみで、腫瘍マーカー(SIL-2R、CEA、CA19-9)は正常範囲内であった。腹部造影CT、MRIで腫瘍はトライツ靱帯肛門側の空腸原発が疑われ、小腸造影、ダブルバルーン小腸内視鏡にて、同部に表面平滑な粘膜下腫瘍を確認した。内視鏡下生検では、腫瘍成分は見られなかった。MRIは、T2WIで筋肉より高信号で内部不均一な画像を認め、悪性リンパ腫は否定的でGISTや平滑筋腫が考られた。腹腔鏡補助下に小腸腫瘍切除術を施行し、合併症もなく術後7日に退院した。病理組織学的にHE染色で固有筋層と連続した紡錘形細胞の密な増殖を認めた。免疫染色では、c-kit陽性、CD34陽性、Calponin陰性、α-SMA陰性、desmin陰性、S-100陰性で核分裂像は2/50HPF、ki-67は100%未満、腫瘍内壊死および腸管浸潤を認めた。固有筋層由来のGISTでFletcher分類は中リスク、Miettinen分類は中等度と診断された。
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