発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010211416
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
40歳男。患者は人間ドックでの上部消化管内視鏡検査で食道裂孔ヘルニア、Barrett上皮とともに一部に白色調粘液が付着した小糜爛病変が認められ、生検で高~中分化型腺癌と診断された。内視鏡的切除の適応と判断し、endoscopic submucosal dissectionを施行したところ、病理組織学的所見では食道腺の存在の明らかなBarrett食道の表面に高分化~中分化の腺癌が認められた。また、粘膜筋板への浸潤がみられたが、粘膜下層には達しておらず、脈管浸潤も認めなかった。だが、一部側方断端の腫瘍残存の判断が困難であったため、10日後にアルゴンプラズマ凝固を追加した。その結果、2ヵ月、6ヵ月経過の内視鏡検査では切除部位は不整のない瘢痕粘膜となっており、同部位の生検でも悪性所見は認められなかった。尚、胃粘膜生検組織培養ではHelicobacter pyloriは陰性であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010