発行日 2012年7月1日
Published Date 2012/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012315585
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71歳女。健診の超音波検査にて膵尾部に2個の嚢胞性腫瘤を指摘された。炎症所見や肝胆道系酵素値・膵酵素値の上昇、自覚症状なく経過観察としていたが、皮膚そう痒感・黄疸が出現したため入院となった。黄疸・肝機能障害を認め、膵酵素値の上昇、IgG高値を認めた。腹部超音波では、膵実質のエコーレベルが若干低く、膵尾部に球形3cm大とハート型の長径2.5cm大の2個の嚢胞を認めた。腹部造影CTでは、膵臓はびまん性に腫大し、尾部に連続性のある2個の嚢胞を認めた。ERCPでは、総胆管下部が著明に狭窄していたが、胆管内に腫瘤や結石は認めず、膵嚢胞は描出されなかった。減黄目的にENBDチューブを留置し、5日間はgabexate mesilateを投与した。膵生検は施行していないが、びまん性膵腫大・主膵管狭窄像、総胆管下部の狭窄像とIgG4値の高値より自己免疫性膵炎(AIP)と診断した。PSLの経口投与を行ったところ、総ビリルビン値・肝胆道系酵素値・膵酵素値は漸減し、黄疸は消失し、第10病日に退院した。その後、PSLを漸減したが膵嚢胞は縮小しなかった。
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