発行日 2010年3月1日
Published Date 2010/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010180568
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68歳女性。患者は55歳時に高血圧症、58歳時に右副腎腫瘍手術、63歳時に慢性腎不全の既往があった。65歳時に洞不全症候群、腹部大動脈瘤手術目的で、著者らの施設へ紹介受診となり、血糖コントロールは良好であったが、今回、HbA1c 13.2%、随時血糖1077mg/dlと異常高値を認め、緊急入院となった。所見では胸部X線検査、内分泌検査の異常はなく、蓄尿検査でも内因性インスリンは低下していたものの、抗GAD抗体は陰性であった。そこで、生理食塩水の輸液とインスリン持続静注を行い、血糖は200mg/dlに改善し、食事開始とともにインスリン強化療法が行われた。一方、悪性腫瘍検索の胸部CTで左S5領域に22mmの結節影が認められ、生検で肺腺癌と診断、各種サイトカインの測定でinterleukin-6(IL-6) 37.6pg/ml、TNF-α 3.83pg/mlと高値がみられた。以後、患者希望で定位放射線治療によりインスリン必要量は徐々に減量でき、IL-6、TNF-α値も次第に低下し正常化した。
©Nankodo Co., Ltd., 2010