発行日 2011年3月1日
Published Date 2011/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2011143668
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84歳女。数日前から咽頭痛・咳嗽があり、内服薬を処方された。歩行困難が出現した。翌日には複視も出現し、歩行不能となり入院となった。神経伝導速度検査では上下肢運動・感覚神経の振幅低下、F波の出現率低下を認めた。抗ガングリオシド抗体では単独での抗GM1、GQ1b抗体を含むすべての抗体は陰性であったが、GM1/GQ1bの複合体抗体のみが陽性であった。臨床症状・検査所見よりFisher症候群と診断した。高齢のため免疫グロブリン静注を5日間行った。しかし、入院3日後に入院時には認めなかった嚥下障害や構音障害、上肢や頸部の筋力低下を認めた。これらの症状増悪に対し、入院4日目からメチルプレドニゾロン静注を3日間行った。嚥下障害と構音障害は入院後3~4日をピークに改善し、眼球運動障害は1ヵ月ほどでほぼ消失した。しかし、腱反射の消失や上肢の脱力の改善は遷延した。リハビリテーション目的で転院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2011