免疫性神経疾患 新たな治療戦略に向けて
代表的な末梢神経の自己免疫疾患 Guillain-Barre症候群・Fisher症候群の診断・治療
桑原 聡
1
1千葉大学 大学院医学研究院神経内科学
キーワード:
IgG
,
感染
,
血漿交換
,
四肢麻痺
,
鑑別診断
,
肺塞栓症
,
発生率
,
伸張反射
,
免疫療法
,
大量薬物療法
,
Fisher症候群
,
Guillain-Barre症候群
,
呼吸管理
,
静脈内投与
,
GQ1b Ganglioside
,
抗ガングリオシド抗体
,
対症療法
Keyword:
Diagnosis, Differential
,
Immunoglobulin G
,
Immunotherapy
,
Infection
,
Pulmonary Embolism
,
Plasma Exchange
,
Quadriplegia
,
Reflex, Stretch
,
Respiratory Therapy
,
Incidence
,
Miller Fisher Syndrome
,
Guillain-Barre Syndrome
,
Administration, Intravenous
,
GQ1b Ganglioside
pp.793-796
発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010193466
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Guillain-Barre症候群(GBS)の年間発症率は10万人あたり1~2人である。全国で年間約2,000人の発症があり、生涯に罹患する頻度は1,000人あたり1人とまれな疾患ではない。先行感染、急性四肢麻痺、腱反射消失が診断のキーワードである。GBSは古典的脱髄型と軸索型の二大病型に大別され、日本における両者の比率はほぼ1:1である。軸索型では抗ガングリオシド抗体が陽性となる。免疫グロブリン大量静注療法と血漿交換療法の有用性が確立されている。重症例では呼吸管理、気道管理、血圧・脈拍変動の対処、肺塞栓の予防などの対症療法が重要であり、集中治療室でのモニターが望ましい。Fisher症候群は外眼筋麻痺、運動失調、腱反射消失を三徴とする。抗GQ1b抗体が陽性となる。自然経過での回復が良好であるため、免疫治療を要さない。ただし数%でGBSの合併がみられ、免疫治療の適応となる。
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