発行日 2011年2月1日
Published Date 2011/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2011140429
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42歳男。約7年前の健診でHbA1c 6.7%を指摘され、翌年より通院していたが自己中断した。頸部、項部、胸腹部、腰背部、上腕外側にそう痒感を伴う左右対称性の紅色丘疹および網状の色素沈着が出現した。糖尿病性ケトアシドーシスと診断し、外来にて輸液、インスリン治療を施行した。他院にてinsulin aspart毎食直前に4単位、insulin detemir眠前も6単位を開始された。皮疹に対しては近医で、ミノサイクリンの内服を開始し、その2日後に糖尿病加療目的に入院となった。皮膚生検では、表皮内および表皮下に水疱を認め、水疱内に好中球、真皮上層に血管周囲性リンパ球浸潤を認めた。ミノサイクリン内服により紅色丘疹は軽快傾向にあった。糖尿病合併症は両側単純性網膜症、腎症1期で、インスリン強化療法の効果によりケトーシスはあるがアシデミアは消失した。また、尿ケトンは陰性となった。血糖コントロール改善に伴い、第13病日にリスプロ25%混合製剤に変更し退院となった。退院後半年、HbA1cの改善に伴いインスリンを中止した。一方その半年後、glimepiride、pioglitazoneの内服にてHbA1c 7.6%まで再度上昇してきている。紅色丘疹はすべての部位にて徐々に軽快し、網状の色素沈着を残す程度となった。
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