発行日 2011年2月1日
Published Date 2011/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2011140430
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79歳女。ADLの低下、胸部不快感、浮腫、喘鳴が出現した。胸部X線で著明な心拡大、両側胸水を認め、血液検査TSH 13.84μIU、FT3 1.1pg/ml、FT4 0.8ng/dlより、慢性心不全、原発性甲状腺機能低下症と診断した。levothyrexine sodium、furosemide、spironolactone、amilodipine besilate、candesartan cilexetilを内服し、浮腫および甲状腺機能の改善を認めたが、通院中断により約4ヵ月後に浮腫が再出現し、呼びかけに反応がなくなり救急搬送された。中枢神経症状、低体温より粘膜水腫性昏睡と診断し、急速な加熱は行わずに室温を上げて毛布で保温し、胃管からlevothyroxine sodium、輸液の持続点滴、利尿薬、hydrocortisone sodium succinateを開始した。意識状態は一過性に悪化し痙攣も出現したが治療を継続したところ、徐々に意識障害は改善し入院9病日には酸素投与も中止可能となった。第11病日より経口摂取を開始し、点滴を中止した。寝たきり状態は入院前と変わりはないが、levothyroxine sodiumの維持量で退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2011