発行日 2011年2月1日
Published Date 2011/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2011140428
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40歳女。約20年前から口腔内にアフタ性潰瘍、3年前から外陰部潰瘍と毛嚢炎が繰り返し出現した。激しい頭痛、軽度の左片麻痺を認め、近医のMRIで右側の内包後脚~大脳脚~橋腹側に病変を認めたため紹介入院となった。アフタは左上口唇粘膜に1ヶ所、右舌縁に2ヶ所、毛嚢炎は左頤部に認め、針反応は陰性、意識は清明で高次機能は正常、髄液IL-6は正常であった。MRIで垂体路に沿って拡がる病変はT1強調像で低信号、T2強調像は高信号で、中心部はガドリニウムで造影され周囲に浮腫を認めた。その後、左顔面を含む左片麻痺が悪化、針反応の陽性化、髄液IL-6の著明な上昇した。MRIで病巣は錐体路に沿って拡大し、T2強調像の高信号域はT1強調像の低信号域より広範囲で、中心部には造影されるmass lesionが大きくなり、周囲の浮腫が増強した。メチルプレドニソロンを3日間点滴静注し、プレドニソロン内服で頭痛、顔面の表在覚低下は消失し、左片麻痺は改善、その後、髄液IL-6は低下し針反応も陰性化した。入院後約3ヵ月のMRIで病変は著明に縮小し、後遺症なく退院し神経症状の再発は認めていない。
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