発行日 2010年8月1日
Published Date 2010/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010300067
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61歳男。59歳時に脳梗塞を発症し、後遺症(痺れ)軽減目的でcarbamazepineを投与中であった。発熱、全身倦怠感が出現し、入院時には頸部リンパ節を触知し、検査所見で異型リンパ球の出現、肝胆道系酵素の上昇、IgGの低下を認めた。ウイルス抗体価はヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)IgMが10倍未満、HHV-6 IgGが20倍、サイトメガロウイルス(CMV)IgMが陰性で、EBウイルス抗体価は既感染パターンであった。また、PCR法で血清中からHHV-6DNAが検出された。その後、皮疹は急速に全身性の紅皮症へと移行し、経過や各種検査所見を併せて薬剤性過敏症症候群と診断し、methylprednisoloneによるパルス療法、続いてprednisoloneの内服を開始したところ、症状および皮疹は改善した。約1ヵ月後に発熱、下痢、血便が出現し、大腸内視鏡検査で全結腸から直腸まで出血を伴う粘膜浮腫、発赤、びらんを認め、多発する地図状潰瘍と打ち抜き様潰瘍を示した。病理組織所見では核内封入体を認め、またCMV抗原が検出された。更に、CMV抗原血症を認め、CMV腸炎と診断し、ganciclovirの投与により症状は消失し、大腸内視鏡所見も完治した。
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