発行日 2007年4月1日
Published Date 2007/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2007195268
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64歳男。下痢を主訴に受診した。lactominを処方したが改善しなかった。下部消化管内視鏡検査を行ったところ直腸~横行結腸に発赤が散在していたため潰瘍性大腸炎と考え、mesalazineを投与したが症状は軽快しなかった。1週間後に下痢は増悪し、下血も出現した。mesalazineを継続しながら絶食、補液で経過観察していたところ38℃台の発熱も出現した。潰瘍性大腸炎の増悪と考えprednisoloneを投与したところ、解熱傾向を示したものの下痢・下血は増悪した。内視鏡検査を行ったところS状結腸~横行結腸に境界明瞭な不整形~類円形の潰瘍性病変が多発しており、肛門近くに巨大潰瘍がみられた。これらの所見からは潰瘍性大腸炎の増悪とは考えにくく、サイトメガロウイルス(CMV)腸炎や赤痢アメーバ、腸結核などを疑い精査を行った。結果、CMV抗原が陽性を示し、生検でCMV腸炎の確診を得ることはできなかったが、他の疾患を示唆する所見がないことからCMV腸炎と診断した。ganciclovirを投与し、症状・検査所見とも著明に改善した。
©Nankodo Co., Ltd., 2007